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ヴィクトリア女王 世紀の愛

(原題 The Young Victoria)2008年アメリカ/2009年12月日本公開

あと数日で新しい年がはじまりますが、今年一番押したい作品です。
必ず観てください。
とくに、これから結婚する女性は必見です。
本作は「男性」にとって絶対にわかり得ないことが、「女性」には必ず分かりますから。
男と女は、いつも違うんですよね(笑)

思わず、恋をしたくなる作品です。
すでに結婚している人にとっては、夫に対して、ほんわかっと優しい気持ちになれる作品です。


この映画は、18歳で即位し、英国を最強の国家に導き、世界中の王室のモデルとなったヴィクトリア王朝の黎明期が描かれた作品である。

父親を幼いときに亡くし伯父も跡継ぎを持たないため、唯一の王位継承者であるヴィクトリアに対して毒殺の計画が立てられたこともあり、母親のケント公爵夫人は、彼女にボディーガードをつけ、室内の階段すら一人で降りてはならないと厳しい監視をつけて育てる。

しかも母親は個人秘書と怪しい関係にある。摂政政治を望む個人秘書の意のままに動く母親とヴィクトリアの関係は最悪だ。

母親に対する娘の怒りは、日本でも、同様に怒りを覚えるお嬢様も多いのではないかと思える。私が日々行うご相談のなかでも、娘から母親への怒りに度々触れているし、彼女たちは「狭い価値観しか持たない母親から一方的に押しつけられるのは、もうイヤ!」と激怒する。
こんな、当たり前のことが世の中の母親には分からない。

映画では、11歳で自分が女王となるべき存在だと知った孤独なヴィクトリアが、頼ることのできない母親との会話を拒否し、小さな子犬とベッドルームでいつも語りあっていた。

ヴィクトリアをめぐる政略結婚が多く持ち込まれるが、唯一、ヴィクトリアの叔父ベルギー国王がドイツから呼び寄せたアルバートにヴィクトリアは一目で恋をした。

政略結婚で、恋をする!

これほど素晴らしいことが他にあろうはずもない。

映画から少し外れるが、アルバート役のルパート・フレンドはイギリス生まれの男前。立ち姿が美しく、肌が美しく、声もいい。キーラ・ナイト・レイのリアルな恋人であり、とにかく男前。ハンサムでもイケメンでもなくて、男前。

ヴィクトリア女王役のエミリー・ブラントは『プラダを着た悪魔』で衣装のすばらしさを見せてくれたが、本作でも衣装も素晴らしい。王室女性の衣装がいいだけでなく、男性の衣装も美しい。
女王の戴冠式のローブの荘厳さはもちろん、晩餐会でのドレスは華やかであり、髪飾りとの組み合わせの妖艶さに加えて、彼らの動きに合わせて衣擦れの音が響くと、思わずためいきが出るほどに。

女王に即位した後、ヴィクトリアを危機が襲い、彼女を唯一利用せず純粋に愛してくれるアルバートにヴィクトリアは求婚する。女王陛下は、男性からのプロポーズを受けることができない。女王陛下は、女王陛下が、わが夫を呼び寄せるのである。

この場面で、私は少し心配になった。

アルバートが宮殿に呼び寄せられると、ヴィクトリアがそれまで心の支えにしていた小さな犬の存在はどうなるのだろう? 犬から彼にバトンタッチ? でも、それでは犬くんが気の毒ではないのか?
そんな心配は、すぐに吹き飛ぶ。

宮殿にアルバートが到着したと知らせを受けたヴィクトリアが階段を駆け下りる。彼女の横に小さな犬がまとわりついてフロアに降りる。
そこに堂々と表れるアルバートは、両手にリードを持つ。リードには二匹の猟犬がつながれている。
------映画を観ていて心から素晴らしいと感動するのは、こういった細やかな描写に出会えたときだ。

1840年2月、純白のウエディングドレスに身を包み、アルバートと結ばれる。
政治や人に左右されがちな女王陛下を、思想的に中立なアルバートが支え、ヴィクトリア王朝が栄える礎を作る。

女王陛下夫妻も、夫婦げんかをする。
印象的な場面がある。

ヴィクトリアが妊娠中に大きな喧嘩をするのだが、そのとき、アルバートに怒鳴りつけた言葉が印象的だ。
世の中の夫婦とは逆であるかもしれないが、いずれの立場においても、夫婦が夫婦であるかぎり喧嘩は起こり、夫婦げんかでのセリフは名文句だ。以下はすべて女王陛下の言葉。

「私は女王よ」
「あなたは、私の夫でしかない」
「あなたは、私を女としてしか見ていない!」

なるほど。

彼女は激怒する。

その後、四男五女の子どもに恵まれる、いわゆる「幸せ」な二人。(私は個人的に、結婚したかどうか、子を成したかどうか、あるいは子どもの数で幸せをはかることはできないと思うのだが)

そして、アルバートは44歳で病死する。
夫亡き後、ヴィクトリアは40年もの間イギリスを統治し、彼を愛したヴィクトリアは喪服を着続けた。「喪服の女王」にはこんな想いが含められていた。

この映画は、ヴィクトリアとともに、アルバートも主人公である。
二人の美しい主人公に目を奪われ、
できれば同じキャスティングで、30歳からのアルバート、彼が死するまでを描く次回作を観たいと思った。

『ヴィクトリア女王』公式サイト
愛のヴィクトリアン・ジュエリー展(2010年1月2日〜2月21日)bunkamura ザ・ミュージアム

(池内ひろ美)


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